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日米韓、協力強化へ事務局 安保・経済、連携調整担う トランプ氏就任前に「制度化」 2024年11月17日 0時00分

  • 執筆者の写真: 羅夢 諸星
    羅夢 諸星
  • 2024年11月17日
  • 読了時間: 8分

15日に開幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に参加するため南米ペルーの首都リマを訪問中の石破茂首相は同日午後(日本時間16日午前)、バイデン米大統領と韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領との日米韓首脳会談を行った。3カ国の安全保障や経済分野での協力強化に向けた調整を担う「日米韓調整事務局」を設立することで一致した。バイデン政権が進めてきた多国間協力の枠組みに否定的なトランプ次期大統領の来年1月の就任を前に、日米韓首脳が3カ国連携の「制度化」を図った格好だ。

▼2面=機能維持どこまで



 石破茂首相と中国の習近平(シーチンピン)国家主席が初めての会談に臨んだ。「戦略的互恵関係」の推進を改めて確認した会談の背景には、日中それぞれの思惑があった。「米国第一主義」を掲げるトランプ米次期大統領の就任をにらみ、日米韓3カ国も連携の維持に腐心している。▼1面参照

 15日午後、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれているペルーの首都リマ。会談場所の中国側宿舎のホテルでは、石破氏を待っていた習氏がわずかに笑みを見せて右手を差し出すと、石破氏は両手で握り返した。相手の片手に両手での握手は優劣関係を示すことにつながる恐れもあり、外交儀礼上は避けられるが、「日本人の習慣として出てしまっただけだろう」(外務省幹部)。実際、石破氏は握手の間、険しい表情を崩さず、習氏と目線も合わそうとしなかった。

 石破氏の表情は厳しい日中関係を象徴するものだ。日本側の説明では、石破氏は習氏に、中国軍機の領空侵犯を含む中国軍の活動の活発化について深刻な懸念を伝え、原発処理水をめぐる中国の日本産水産物の全面禁輸についても輸入回復を早期に実現するよう求めた。

 石破氏は会談後、記者団の取材に、9月の日中両政府の合意に基づき、日本産水産物の輸入回復に取り組むことを確認したと明かした。「習主席自身が言及したことは、非常に重いものがある。首脳同士で会談をすることの重要性を改めて強く感じた」と強調した。

 安全保障をめぐる中国の脅威を強く認識する石破氏だが、対話による日中関係の改善に積極的だ。「お互いに嫌悪感をあおるようなやり方は好まない。中国とはべたべたすることもないが、けんかを売る必要もない。首脳同士、国民同士が良い関係になるように持っていきたい」と周囲に語る。岩屋毅外相の「嫌韓、嫌中などと言っていたのでは、日本外交は成り立たない」という発言など、石破政権が中国との対話重視のシグナルを出し続けていることで「中国側に安心感が広がっている」(外務省関係者)という。

 昨年11月の日中首脳会談は、ぎりぎりまで調整が難航し、会談の正確な時間が決まったのは当日朝だった。一方、今回の会談に向けた調整はスムーズに進んだという。外務省幹部は「中国側は早い時期からやる気満々だった」と話す。別の幹部は「中国は対話基調だ」と述べ、日本産牛肉の輸出再開やコメの輸出拡大にも期待を寄せる。

 ただ、自民党は衆院選で大敗し、少数与党となった石破政権の政権基盤は極めて脆弱(ぜいじゃく)だ。政府内では「政権基盤が安定しないと、外交も難しい」(外務省幹部)という声も上がり、日中関係がどこまで改善するか見通すのが難しい情勢だ。(里見稔、リマ=松山紫乃)

 ■中国融和、トランプ政権に備え

 一方、習氏は「石破首相が就任後、両国関係の発展の果実を両国民が得られるように努力すると語ったことに称賛の意を表する」と評価した。

 両首脳の初会談は早い時期から実現が見込まれ、中国側の融和的な姿勢がにじんだ。国際会議を利用した会談は単独の会談よりハードルは低いが、日本の外交関係者は衆院選の結果が出る前から「(両氏は)会えると思う」と感触を口にしていた。

 もともと、中国の石破氏に対する第一印象は悪くなかった。総裁選で争った高市早苗前経済安全保障相が対中強硬派と見られていたのに対し、石破氏は「理性的な話ができる相手だ」(中国共産党関係者)との分析があった。

 石破氏が防衛庁長官を務め、「アジア版NATO」を持論としたことに中国側は警戒感を持っていたが、10月の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議で、持論を封印し現実路線を示したことで、中国側に安心感を与えた。

 さらには、来年1月に迫る米国のトランプ前大統領の再登板に備えたい中国の思惑も透けて見える。

 中国はバイデン政権下でも、新興・途上国「グローバルサウス」との連携や欧州や豪州などとの関係改善にも取り組み、米国と対抗する動きを進めてきた。トランプ氏は中国からの輸入品に60%の関税をかけると主張しており、安全保障でも米中対立がさらに先鋭化する危険性をはらむ。不確実性が増すなかで、さらなる布石が必要だ。

 国内では、停滞する経済の立て直しが重要課題だ。米国との「第2次貿易戦争」の恐れに身構えるなかで、対日関係は安定化させ、貿易や投資といった経済交流を促進させたい狙いものぞく。

 今回の首脳会談では、日本産水産物の輸入の段階的回復について、両国で着実に実施していくと確認した。外務省幹部は「習氏の口から聞いたのは初めて」と評価する。

 ただ、日本側が求めてきた訪中ビザ免除の再開など具体的な成果はなかった。石破氏の政権基盤が弱いことから、中国側が石破政権の今後の成り行きを見極めようとしている可能性もある。(リマ=井上亮、北京=斎藤徳彦)

 ■日米韓事務局、機能維持どこまで トランプ氏は枠組み軽視

 バイデン米大統領が主導して連携を進め、レガシー(遺産)の一つとしてこだわった日米韓の安全保障協力。日米韓首脳は15日の会談で、3カ国連携の「制度化」を目指し、協力の調整にあたる「日米韓調整事務局」の設置を打ち出した。だが、多国間協力の枠組みを軽視するトランプ次期米大統領が就任すれば、日米韓の枠組みも実際にどこまで機能を維持できるか不透明感は強い。

 「私にとっておそらく最後の三者会談となるだろう。我々がここまで前進したことを誇りに思う」。約40分間の会談の冒頭、バイデン氏はそう語り、日米韓の連携を自身の外交成果として強調した。事務局設置は、今後も日米韓の協力を後退させないための制度的な「歯止め」だ。共同声明では設置目的を「インド太平洋を安全な地域にするための我々の目標と行動をさらに整合させる」と記した。

 背景には、トランプ氏復権へのバイデン氏の強い危機感がある。トランプ氏は大統領当時、日米韓の安保協力に無関心であり、日韓関係が険悪化するのを放置し続けた。さらに現在のインド太平洋地域では、北朝鮮兵のロシア派遣などロ朝の軍事協力といった深刻な問題が山積みだ。

 今回が最後の日米韓首脳会談となる見通しのバイデン氏としては、トランプ氏が復権しても、中国や北朝鮮、ロシアに対抗し、日米韓の連携を揺るぎないものにしたいとの狙いがあった。

 だが、日韓政府内では、1対1の「ディール(取引)」外交を好むトランプ氏の復権で、日米韓の首脳レベルでの協力が停滞すると懸念する見方は根強い。トランプ氏は選挙戦で、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記について「仲がよかった」とたびたび言及しており、日韓の頭越しに正恩氏との直接交渉に乗り出す可能性もある。(リマ=清宮涼、松山紫乃、ソウル=貝瀬秋彦)

 ■日中首脳会談の主な内容(日本側の発表に基づく)

 ◆「戦略的互恵関係」の包括的推進と「建設的かつ安定的な関係」の構築という方向性を確認

 ◆外相の相互訪問、人的・文化交流や経済分野のハイレベル対話の実現へ調整

 ◆日本産水産物の禁輸緩和に向けた合意の着実な実施を確認

 ◆日本産牛肉の輸出再開、精米の輸出拡大のための当局間協議の再開へ意思疎通の継続を確認

 ◆石破茂首相が領空侵犯を含む中国軍の活動の活発化に深刻な懸念を伝達

 ◆石破氏が在留邦人の安全対策の強化を要請し、中国の習近平国家主席が日本人を含む外国人の安全を確保すると発言

 会談の冒頭、石破氏は「調整事務局を活用しつつ、北朝鮮の対応はもちろん、様々な分野で連携を緊密にしたい」と語った。尹氏は「発足する事務局はより大きな協力を導く堅固な基盤となる」と述べた。バイデン氏は、トランプ氏の復権を念頭に「我々はいま、重要な政治的変化の時を迎えた」と指摘。「(日米韓の)協力を築く一助となれたことを誇りに思う。この協力が続くことが私の希望であり、期待だ」と述べた。

 約40分間の会談では、3首脳は北朝鮮とロシアの軍事協力の進展などを踏まえ、日米韓の戦略的連携がこれまでになく重要になっていることを確認。日米韓調整事務局を設立し、北朝鮮への対応を含む様々な分野で緊密に連携することで一致した。対中国を念頭に、現状変更の試みに反対し、南シナ海での不法な海洋権益に関する主張に反対する重要性を認識していることも確認した。

 一方、石破氏はバイデン氏と個別に約10分間会談し、強固な日米関係を強化するため、引き続き緊密に連携することで一致。日米韓などの同志国のネットワークのさらなる発展に向け、今後も協力することを確認した。(リマ=松山紫乃、清宮涼)

 ■日米韓首脳共同声明骨子

 ◆日米韓の調整事務局を立ち上げ、インド太平洋を安全な地域にするための取り組みにつなげる

 ◆ウクライナとの戦闘のためにロシアに兵士を派遣するなどの北朝鮮とロシアの軍事協力を非難

 ◆インド太平洋地域の一方的な現状変更の試みに強く反対し、南シナ海における不法な海洋権益に関する主張に反対する重要性を認識

 ◆半導体、人工知能(AI)など重要・新興技術協力を推進

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