(社説)企業・団体献金 温存では不信は拭えぬ2025年3月16日 5時00分
- 羅夢 諸星
- 3月17日
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与野党が結論を出すとした3月末を間近に控え、衆院政治改革特別委員会でようやく、企業・団体献金のあり方をめぐる議論が始まった。
存続か、禁止か、規制強化か。与野党間のみならず、野党内でも考えに違いがある。平行線のまま時間切れとなり、現状が温存されるだけなら、政治資金への不信感を拭い去ることはできない。
企業・団体献金の扱いは、「平成の政治改革」で積み残された、30年来の「宿題」だといえる。税金で賄う政党交付金を導入する代わりに、政治家個人向けの寄付は禁止されたが、政党向けは5年後の見直し規定にもかかわらず、手つかずのまま残った。
個人向けの資金提供も、政治家の「第2の財布」といわれる政党支部への献金や、政治資金パーティー券の購入という形で、事実上、続いている。「禁止より公開」だとして、現行制度の見直しには踏み込まない自民党は、抜け道を固守しようとしているとしかみえない。
自民が提出した「公開強化法案」にしても、昨年1月時点で7843に及ぶ政党支部のうち、公表対象となるのは5・6%に過ぎず、金額ベースでも56%にとどまる。
公開強化というなら、今は「年5万円超」となっている寄付者の公開基準の引き下げも検討してしかるべきではないか。現状3年となっている政治資金収支報告書の公開期間の延長は欠かせない。
一方、立憲民主党や日本維新の会など野党5党派は、企業・団体献金の禁止に向け、立憲と維新がそれぞれ衆院に提出した法案を一本化し、成立をめざす方針だ。
両党案とも、憲法が保障する「政治活動の自由」に抵触する可能性に配慮し、政治団体からの寄付を除外した。「抜け穴」との指摘にこたえる、詰めた議論が必要だ。
国民民主党は禁止に慎重姿勢を崩しておらず、5党派だけでは特別委の過半数には届かない。自民案も単独では通らない。両案とも否決され、結局、何も変わらないという展開は避けねばならない。
石破首相の商品券配布で、「政治とカネ」に対する国民の視線は、一層厳しさを増している。何ら規制策を示していない自民がまず、他党に歩み寄るべきではないか。
朝日新聞の昨年末の世論調査では、企業・団体献金によって「政党の政策がゆがめられる」と答えた人が61%と、「そうは思わない」の25%の倍以上あった。根強い国民の疑念に正面から向き合い、今度こそ納得のいく答えを出さねばならない。

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